column
はじめに
最近よく耳にする、DX(デジタルトランフォーメーション)は経済産業省が推進しています
が、残念ながら日本ではデジタル化について世界と比較するとかなり遅れています。
世界経済フォーラムでは世界のすごい工場(Global light house)として世界のお手本となるデジタル化が進んでいる工場を認証しています
(世界で132 工場)が、日本では認定されている工場は2 工場(日立製作所 おおみか工場、P&G 高崎工場)しかありません。
しかも、日本資本の会社は1 社のみというのも悲しい事です。
そして、認定された工場ではディープラーニング、デジタルツイン、IoT 機器の活用等最新のAI 技術を利用して、大きなコストダウン、生産性向上、従業員の最小化、工程の最速化
そして売上げの向上等最新のテクノロジーによる恩恵を得ることで、非常に進んだ工場の運営をしています。
目指すべき目標として、世界のすごい工場(Global light house)をお手本
にする事で最適化された工場経営を目指していきましょう。
農林水産省 「食品製造業における労働不足克服ビジョン」によりますと、少子高齢化がす
すんでいる事によって労働人口の減少傾向があります。
東京を初めとする都市部では、労働者不足に対して働きやすさの改善などを行う事で
労働者不足の対策を行っており、全体的に都市部に労働人口が集まる傾向があります。
一方で食品工場は広い土地が必要なため地方にある事が多く労働人口が減少している上、
労働人口が都市部に移動している事で従業員の確保がさらに長期的に困難な傾向があります。
また、食品工場では離職率が高く平成29 年度の有効求人倍率も全業種平均の1.54 倍と比較すると2.78 倍と食品工場はさらに大きくなっています。
これは労働生産性が低くデフレ経済の中、給与が抑えられる労働者に依存していた結果です。
特にパートタイマーや非正規雇用の割合が高い事が人材確保の壁となっています。
また、日銀の短観で企業の業況感や設備、従業員の過不足などの判断を指数にした、DI 値
が食料品製造業では平成29 年にマイナス30 だったのが平成30 年にはマイナス38 となり
悪化傾向となっています。製造業全体でも深刻ですが、食品業界は特に深刻な状態となっています。
食品工場の場合地方圏にある事からも省人化できるような設備投資などを活用する事で、
限られた人員で付加価値の高い工場を目指す必要があります。
「人が足りない」「手が足りない」と嘆く現場でよくある事ですが、人手が足りないのは
ある特定の時間だけという事がよくあります。その他の時間は、手待ち時間だったり、
不要な仕事(非生産性の仕事)をしているケースが多々あります。
特に専門的な仕事をしていると、自分の仕事はここからここまでと決めつけて勤務時間が8
時間あるのに実際2 時間位しか生産性のある仕事をしていないというケースもあります。
他の時間遊んでいるのかと勘違いする人もいますが、実際は生産性の無い仕事を
しているので別に遊んでいる訳ではありません。
そして一番問題なのは、管理者が現場を眺めていても、それに気がつかないという事です。
実際約50 人で動かしていた塗装工場を最終的に35 人規模で動かせるようにした一例です。
これはある工場の話ですが、当時残業が多く、在庫も多い、そして納期遅れが多発、そして
人手が足りなくなると、多くの派遣社員を雇っていた会社でした。もちろん会社としても赤字でした。
最初に生産性のある仕事はどの位あるか調査した処 平均約2 時間/勤務時間中しかありませんでした。
そこで行った対策は
この3 つです。
簡単に言うと、生産性のある仕事だけでスケジュールを計画して、従業員の勤務時間に当て
嵌めていく、従業員はその指示に従って仕事をする。ただそれだけです。もちろんメインの
仕事はあるかもしれないが、他の部署で他の仕事を応援するという形になります。つまり多
能化が絶対条件となります。
このスケジュール管理をしても、すべての時間が埋まる事はありません。その空いた時間で
非生産性の仕事を行うという体制にしました。
これは生産管理の負担が非常に大きくなりますが、人件費の圧縮にはかなり効果的です。
従業員側は行っている事は変わらない、ただ仕事が止まらなくなった、待ち時間が少なくな
ったと思う事でしょう。
また従業員が過剰であった事が判明したので時間をかけてリストラを実施。
この対策で、ほぼお金をかけずに、残業、納期遅れ、在庫が無くなり、工場として収益が回復をしたケースです。
最終的には月に100 万円以上のコストダウンに成功したケースです。
これは若干アナログ的な動きですが、AI 技術を利用して工場全体の最適化を行っているの
が今現在言われているDX となります。
DX 化による調理ロボットの導入によって多くの段取りを自動化する事が出来、従業員への
負担を大きく減らす事が出来ます。これによって安定した生産活動と効率的な作業が可能
になり、人手不足問題を大きく軽減する事が出来ます。
DX では、調理器のデータを収集し分析解析をする事で調理のプロセスの改善点や効率化出
来る領域を判定する事が可能になります。調理を最適化する事で、使用する材料の需要予測
が出来るようになり、その情報に基づいた原材料の調達や調理のプロセスの最適化が可能になります。
IoT とはインターネット・オブ・シングスの略でその技術を利用する事で、ディープラーニ
ングの技術を使用する事で、調理ロボットから様々な情報を吸い上げ、調理ロボット同士や
他の機器を連携させる事によって、生産スケジュール、調理方法の最適化を行い、
スムーズで効率の良い生産作業が実現します。それによって生産性を向上する事が出来ます。
生産性が向上する事で調理コストを下げる事も可能となります。
ロボットと従業員が別々に作業をするのでは無く、共同作業を促進する事で、人間の能力と
ロボットの自動化を最大限に生かす事が出来ます。これによって複雑なタスクやクリエイティブな要素を
人間が担当してロボットが補完する形で作業する事で、最適な調理が可能となってきます。
食品工場では調理ロボットによって生産を行う場合、まずは衛生基準や食品安全性を遵守し、
外部からの汚染や感染を防ぐ必要があります。施設へのアクセスにしても制限や衛生管理が重要となっています。
調理ロボットはレシピや製法そして顧客情報など機密情報が扱われる事がありアクセス制限、
セキュリティーカメラ、品質管理のシステムなどが必要となります。
またDX の場合データの共有化が必須となる事で最新のデータ漏洩防止、個人情報保護に十分配慮が必要となります。
DX における技術促進は常に進化しています。調理ロボットのシステムやソフトウェアの
アップデートによって最新の技術を簡単に取り入れる事が出来ます。
それによって調理ロボットの性能や機能を向上させる事で、業務をより効率的にアップデートする事が可能です。
また調理データを常に取得している事でより最適化されたシステムアップをする事が可能となります。
DX を導入する時には、従業員がより活用するために適切な教育やトレーニングが重要です。
最新のIoT 機器となる調理ロボットを使いこなすため、新しい技術やシステムに適用する
教育を行い、積極的にスキルや知識を身につける事で、ロボットとの協力体制を構築する事
が出来ます。それによって生産性を最大化する事ができます。
最初に書きましたが、食品工場では慢性的な人手不足が深刻化しています。また食品工場の
人手不足の原因として考えられるのが、給与水準の低さです。食品工場は製造工場の中でも
給与水準が低い傾向があり、それによって離職率も高いとされています。
それらの原因を打破する事が出来るのが、実はDX(デジタル トランスフォーメーション)
なのです。
最新のDX では、最新のIT テクノロジーを利用する事で、調理ロボットを積極的に
取り入れる事で、工程の自動化、生産の安定性、安全性の向上を進める事が出来ます。
そして、自動機械をネットワークに接続をする事でIoT 機器として、各自動機の生産の
記録を収集する事が出来ます。集まった膨大なデータを分析・解析をする事で、工場全体の自
動機や従業員の最適化を行う事が出来るようになります。
工場全体の最適化を行う事で、時間や材料などあらゆる生産のロスを減らし、生産納期を短
くする事が可能となります。
食品工場の生産工程の最適化は非常に重要で、生産工程が短くなる事で廃棄ロスの減少、材
料の使用料の最適化につながります。
また材料の廃棄リスクが減少する事で在庫の適正化を行う事も可能となります。それによ
って購入量も最適化する事が可能になる事で、サプライヤーチェーンとの新たな交渉をす
る事も可能となります。これらを総合すると材料費(材料比率)を下げる事も可能となります。
つまり総合的に製造コストの大幅な低減をする事が出来ます。
これは、少ない従業員でも自動機を利用する事で生産性が上がる事で、大きな付加価値を得
る事が出来ます。この付加価値は工場にとって大きな利益に繋がってきます。その出た利益
の一部を従業員に還元する事で従業員の満足度も上昇する事で、食品工場の問題となって
定着率の向上など人手不足対策に繋がります。
このようにDX は未来の工場経営には切っても切り離せないような仕組みとなっており、
大きな変革には必要不可欠となっております。ただ、DX のパッケージを導入すれば直ぐに
出来るわけではありません。あなたの工場にあったDX の仕組みが必ず必要となります。
そのためには、どんなデータをどのように管理する必要があるのかを事前に調査をする必要
があります。それによってあなたの工場にマッチした仕組みを導入する事が可能となりま
す。
この記事を書いた人
小島 淳生産技術出身でものづくりの専門家です。工場の分析を行い工場の最適化を行います。