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「輸出先としてマレーシアに関心があるが、実際どうかな?」
「マレーシアの人はどういう食材を好むの?どういう食材が流行っているの?」
マレーシアへの食品輸出を検討しているものの、現地の食トレンドについて最新の情報が手に入らず、お困りではないでしょうか?
そこで本記事では、マレーシアの最新食トレンドを解説していきます。
加えて、日本の食品をマレーシアで展開していく上で抑えきたいポイントも併せてお伝えしていきます。
ぜひ最後までご覧ください。
マレーシアは、マレー系・中華系・インド系など、様々な民族が共生する多民族国家です。
マレー系の人々は、人口の約70%(先住民12%を含む)で、マレー語・英語を話し、ほとんどがイスラム教徒です。
中華系の人々は、人口の約23%で、中国語・マレー語・英語を話し、多くの人が仏教徒でありつつ、香港・台湾の文化の影響を受けています。
インド系の人々は、人口の約7%で、タミール語・英語を話し、多くの人がヒンドゥー教徒です。
このように、言語・宗教も様々な民族が入り混じっており、当然に文化や食嗜好も様々なのがマレーシアなのです。
食の嗜好やトレンドは民族によって様々ですが、大きな傾向として、マレーシアではどのような食品が人気なのでしょうか。マレーシアで人気の食材について、一部ご紹介します。
マレーシアでは、エッグタルトや、ドーナツなど、バターが入っていたり、揚げ物生地のスイーツやパンが人気です。
筆者も、マレーシアの空港に降り立った時に、いきなりドーナツが手渡しされて驚きました。
中華系の人々を中心に、抹茶のスイーツが人気で、定番メニュー化されています。
抹茶の大判焼きから、アイスクリーム、抹茶ラテ、抹茶わらびもちなど、抹茶が入っているスイーツやドリンクが幅広くラインナップされています。
新鮮なフルーツも人気で、海外から輸入されてスーパーマーケットに陳列されています。
中国産・韓国産のフルーツが圧倒的に安くて人気で、日本産フルーツの存在感が薄い状況です。
フルーツは日常的に食べられますが、旧正月などのイベントの際に贈答用で購入されるケースも多いです。
ラーメン、寿司、焼肉、とんかつなど、「日本食であることがわかりやすい」食事もマレーシアで人気です。
特にラーメンが人気で、現地でも豚骨ラーメン店が大行列となっていました。
現地を視察して、人気トレンドがあるからといって、実際に進出して売れるかどうかはわかりません。マレーシアに進出する上で、抑えておくべきポイントを具体的に解説していきます。
「1.多民族国家であるマレーシア」でも解説しましたが、マレーシアは様々な民族が共生しています。
民族によって、所得分布も異なりますし、食に対する嗜好や価値観、トレンドも異なるため、マレーシアで食品を展開する場合は、どの民族の人々をターゲットにするかを明確にすることが重要です。
一例ですが、中華系の人々は「濃い抹茶」が好きなのに対して、マレー系の人々は「甘めの抹茶」が好きという嗜好の違いがあります。
その前提を踏まえて、富裕層が多い中華系の人々に対して、濃い抹茶のアイスクリームを展開するお店もあります。
また、マレー系民族は、ほとんどイスラム教徒で、ハラルの関係で「豚」は食べられませんが、中華系の民族をターゲットに、「豚骨ラーメン」を提供して成功しているお店もあります。
お酒が飲めないイスラム教徒が多いマレーシアで、日本のお酒が売れていたりもします。
国民の半数以上がマレー系であるため、「ハラル」対応をしていないといけないというイメージがありますが、ターゲットが明確であれば「ノンハラル」でも売れる可能性はあるのです。
そのため、マレーシアで食品を展開する場合は、どの民族をターゲットにするか明確化していきましょう。
一方で、イスラム教徒が多いマレー系をターゲットにする場合は、ハラル認証を得るなどの対応が重要です。
日本食として異国感を出しながらブランディングしたとしても、同時に現地の人々に慣れ親しんでもらえるように工夫することが重要です。
例えば、マレーシアでは、現地で慣れ親しんでいる海老のラーメンを、日本風のラーメンにリブランディングして売り出したりしているケースもあります。
マレーシアには、日本食に限らず、海外から様々な食文化が流入し、目新しいお店がたくさん進出しています。その中で、ありきたりなお店だと埋もれてしまうため、他のお店や他のブランドと何が違うのかわかりやすくなるように、「尖らせる」ことが重要です。
例えば、スイーツ店の場合、いろんなフレーバーが選べるお店よりも、「抹茶の濃さが選べる、抹茶アイス専門店」の方が特徴がわかりやすく、人々の話題にもなりやすいです。
贈答用として売り出す場合は、ラッピングをこだわることも重要です。
現地の人からすると、日本産と書かれていても、「本当に日本産なのか?」疑問に思うことも少なくないため、現地でラッピングするのではなく、日本語がきちんと書かれていて、日本でラッピングする方が信頼性が高まります。
現地でヒットすると、それを真似して中国・韓国から競合が進出するケースもあるため、進出後も常に競合の動きは注視することが重要です。
例えば、一時期日本のシャインマスカットが大ブームとなりましたが、それを受けて韓国産・中国産の価格の安いシャインマスカットがどっと入ってきて、日本産のシャインマスカットが淘汰された経緯もあります。
マレーシアの中華系の人々は、台湾や香港の情報をトレンドでチェックしています。実際に台湾・香港初のブランドや店舗がマレーシアでも流行っていることが多いため、中華系をターゲットにする場合は、台湾・香港で今何が流行っているかはチェックが必要です。
いくら日本産で素材にこだわっていても、現地の人に伝わらなければ価値を理解していただけません。
素材のこだわりをソーシャルメディアを通じて発信したり、例えば抹茶であれば「京都」という誰もが知っているキーワードを使いながら、「本物」であること「高付加価値であること」を伝えていくことが重要です。
本記事では、マレーシアにおける食のトレンドや、進出する上で抑えておきたいポイントをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
詳しくは、こちらのYoutube動画で、実際の店舗の様子を交えながらお伝えしているので、ご参照ください。
https://www.youtube.com/watch?v=s5izyMLRyhY
https://www.youtube.com/watch?v=5HOffy-3Wco
ぜひ本記事やYoutubeをご確認いただきながら、海外進出のディスカッションをしていただければと思います。
この記事を書いた人
荒島 由也スター・コンサルティング・ジャパン代表、STAR KITCHEN創業者。ベトナムで料理教室、洋菓子製造・販売事業も展開。ホーチミン高島屋に店舗を持つ他、 スターバックス、セブンイレブンなどを取引先に持つ。