column
「海外でビジネスを展開したいが、失敗しないか不安だ」
「海外ビジネスを成功させるために、意識しておくべきことはないか?」
自社製品の海外展開を模索しているものの、予算が限られているため大きな失敗はできず、ご不安ではないでしょうか?
マーケットが成長している海外ビジネスでは、国内ビジネスと比べて、一度ヒットしたら大きなリターンが見込めるものの、不確実性が高く、リスクも大きいです。
実際にやってみないと成功できるかどうかわからない側面もあるため、踏みとどまる必要はありませんが、あらかじめ失敗事例を把握した上で、避けられるリスクは避けるべきです。
そこで本記事では、ベトナムでの事業歴10年・日本企業の海外進出支援事業を営む筆者が、海外ビジネスで失敗する企業の共通点3つをお伝えしていきます。
ぜひ最後までご覧ください。
「日本のモノであれば、品質が高いから売れる」なんて思ってないよという企業は多いと思いますが、実際の行動を見ると言葉とは裏腹にマーケティング努力を怠ってしまい、海外で全く売れないという失敗が本当によくあります。
この点は、私のYoutubeでも、何度も強調してお伝えしていますが、「日本のモノであれば自動的に売れる」という考えは幻想です。
日本製品は確かに品質が高いですが、品質が高いからと言って売れるとは限らないのです。
例えば、子どもを大切に思うベトナム人が、ベビー製品で品質の高い日本製品を好むようなことはありますが、それ以外の製品や食品で、海外の人が常に品質が高いものを求めているとは限りません。市場によっては、「過剰品質で高すぎる」と捉えられてしまうケースもあるのです。
また、訪日観光客に売れているからといって、現地で売れるとは限りません。特別な旅行というタイミングで購入することはあっても、日常的に購入するかどうかは別の話であるからです。
さらには、日本企業の海外進出の支援をする中で、「日本で働いているベトナム人が美味しいと行っているからベトナムで売れるだろう」とおっしゃる企業担当者の方もいらっしゃいますが、日本で働いているベトナム人と現地に住んでいるベトナム人の感覚は違います。
このような幻想によって、マーケティング努力なくして売れるだろうと過信してしまい、失敗してしまうケースが非常に多いです。
物価が安いからといって、海外進出にかける費用を安く抑えられるとは限らないにもかかわらず、マーケティングにほとんど予算を割かず、失敗してしまう企業も多いです。
小売の力が強い日本では、マーケティングにほとんどお金を割かなくても、売れることがあるかもしれませんが、海外では同じように行きません。
闇雲に営業したり、ただ小売店で置くだけでは売れないため、「現地の人が製品を実際に買うのか」、「買うとしたらどれくらいのお金を払うだけの価値を感じているのか」など、予算を使って様々な検証をしながら、現地の人に刺さるマーケティング戦略を検討していなければ、海外ビジネスで成功することは難しいです。
にもかかわらず、マーケティングの重要性を軽視して、いざ展開してみたら全く売れない状況を作ってしまう企業が後を立ちません。
現地の代理店や協業パートナーに任せっきりで、自社で積極的に施策を考えたり、パートナーに働きかけたりしない企業は失敗することが多いです。
代理店やパートナーによっては、商品を右から左に流すだけで積極的に営業してもらえなかったり、現地で売れるためのマーケティング施策を一緒に汗を流して改善してもらうような積極性はない場合もあります。
政府系や財閥系のパートナーであっても、積極的に動いてもらえるとは限りません。
そのようなパートナーに対して、任せっきりにしてしまい、ほとんど売れない結果になってしまう失敗も多いのです。
ここまで、海外ビジネスで失敗する企業の共通点をお伝えしました。
一貫してお伝えしたいのは、「マーケティングを制するものは海外ビジネスを制する」ということです。
日本企業の海外ビジネスを支援していて、マーケティングに力を入れないがゆえに、成功しない企業をたくさんみてきましたが、逆にマーケティングに本腰を入れれば、他社を出し抜いて成功する可能性は拓けるのです。
具体的には、
①商品選定
✔️自社の商品ラインナップの中で、どの商品だと現地の人に刺さるか
✔️現地の人に受け入れられるために、どのような商品を作る必要があるか
②プロモーション
✔️現地のお客さんとのコミュニケーションで、商品の価値をどのように伝えていくか
✔️高品質・高価格商品であれば、「なぜ品質が高いといいのか?」をどのように伝えていくか
③価格設定
✔️製品の品質に対して、お客さんはどの程度の価値を感じて、どの程度のお金を払っていいと思うか
④販売・マーケティングチャネル
✔️小売店・商社など、どのようなチャネルで製品を届けていくか
以上のような当たり前のようなことを、当たり前にこなすことが、海外ビジネス成功の鍵になるのです。
製品への情熱を持って、「絶対にこの製品の素晴らしさを海外の人にも届ける!」というような思いで、マーケティングを推進していきましょう。
今回の記事では、海外ビジネスで失敗する企業の共通点をまとめました。いかがでしたでしょうか?
ぜひこの記事を参考に、海外ビジネスを進める上での、自社の取り組みを見直していただければと思います。
この記事を書いた人
荒島 由也スター・コンサルティング・ジャパン代表、STAR KITCHEN創業者。ベトナムで料理教室、洋菓子製造・販売事業も展開。ホーチミン高島屋に店舗を持つ他、 スターバックス、セブンイレブンなどを取引先に持つ。