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「アジアではフードテックはどのように盛り上がっているの?」
アジアのフードテック最新情報について、ネットで調べても知りたい情報がヒットせず、お困りではないでしょうか?
食品メーカーが、海外へ販路を拡大する上では、現在の食文化を把握するだけでなく、フードテックの動向から、食文化の今後の変化を予測することが欠かせません。
そこで本記事では、ベトナム事業歴10年、洋菓子事業・海外進出支援事業を営む筆者が、
マレーシアで開催されたサステナブルフードキャンプ2023に参加して得た、リアルの情報を交えながら、東南アジアで盛り上がっているフードテック企業3選をご紹介していきます。
2023年2月、マレーシアのサイバージャヤという都市で、サステイナブルフードキャンプ2023というイベントが開催されました。
サイバージャヤは、クアラルンプール中心地から車で約40分移動した先にあります。この土地は、マレーシア政府が意図的に海外のハイテク企業を集めて、アメリカのシリコンバレーを築く構想で開発が進んでいる地域になります。
サイバージャヤで開催された、サステナブルフードキャンプのイベントでは、2050年のアジアの食の未来を、アジアのフードテック企業40社以上と日本企業が集まって議論する場が設けられました。
具体的には、パネルディスカッションや、ピッチ、展示場での試食が行われ、アジアの食の未来について、熱い議論や意見交換が行われました。
ここでは、アジアの食品企業が多数集結しているため、アジアで販路を開拓する上で、様々なコネクションが構築できます。
2024年も開催予定ですので、ぜひイベントをチェックしてみてください。
日時:2024年2月28日,29日
開催場所:マレーシア、プトラジャヤ
プログラム:パネルディスカッション、ピッチ、試食、ディスカッション、ネットワーキングディナー
サステイナブルフードキャンプでは、アジアの食に関する課題が議論されました。
具体的には、食に関して、このように様々な課題が懸念されています。
これらについて具体的に解説していきます。
アジアでは、経済成長に伴い、所得の向上、食の欧米化により、肥満や糖尿病をはじめとした生活習慣病が急速に増加していることが課題となっています。
実際に、アジアの新興国を訪れると、ファーストフード店や海外のレストランが立ち並んでおり、食文化の変化が如実に感じられます。
また、インフラが整備されたことにより、運動不足になっていることも生活習慣病の要因の一つです。
生活習慣病の増加により、ヘルスケアの領域は注目が集まっており、ビジネスチャンスと言えそうです。
世界的に、人口増加に伴うタンパク質不足が将来懸念されています。
特にアジアでは、2050年に人口が53億人(国連、経済社会局)に達し、さらには所得水準・食水準の向上により、タンパク質の需要が急速に高まるとみられているため、タンパク質不足は深刻な課題です。
それに伴い、昆虫食や代替肉などのフードテック企業が注目を集めており、今後需要が伸びていくとみられます。
今回は、サステナブルフードキャンプで注目を集めていた、アジアのフードテック企業をご紹介します。
出典:youtube 海外ビジネスに挑戦!あらしまチャンネル
Life Origin というマレーシアの企業が、昆虫を原料にした製品をプレゼンしていました。
こちらの会社は、クッキーやケーキなどに活用できる昆虫原料のオイル、昆虫パウダーを使ったペット用サプリメント、エビや魚のための餌などを開発しています。
現時点では昆虫オイルを月間20kg程度生産し、昆虫パウダーを活用したペット用サプリメントをオンラインで販売しています。
昆虫からどのようにミルキーなオイルを開発しているか?について、昆虫に与える餌や加工の基準を厳しくすることで、高品質のオイルを実現しているとのことです。
販売量はまだまだですが、今後は設備投資を通じて市場を開拓予定とのことです。
昆虫食はカンボジアなどでは一般的であるため、プロテイン不足を補う食材として、需要の高まりが予想されます。
引き続き注目したい企業です。
出典:youtube 海外ビジネスに挑戦!あらしまチャンネル
BRELLA という企業が、女性の生理障害を和らげる機能がある、ハーブを原料にしたチョコレートを開発しています。
実際に試食してみましたが、ハーブの風味がしました。
今後は、コーヒーやアイスクリームなど、商品の多角化を考えているとのことです。
東南アジアでは、従来、女性の体や健康への意識は高くありませんでしたが、パンデミックをうけ、健康やウェルネスへの意識が高まったことをきっかけに、フェムテック市場も成長しています。
フェムテック関連企業も今後期待できます。
Nankaという企業は、マレーシアの食品企業で、ジャックフルーツと呼ばれる東南アジアの果物を原料にした植物性代替肉を開発しています。
日系大手製薬学者との取引も決まっているほか、海外への輸出を積極的に行っているなど、すでに実績がある企業です。
プロテイン不足に伴い、代替肉の需要は高まることが予想されるため、引き続き注視したい企業です。
今回は、サステナブルフードキャンプというイベントをご紹介しましたが、アジアではそれ以外に様々なイベントが日々開催されています。
例えば、ベトナムでは以下のようなイベントが開催されています。
このようなイベントでは、現地のフードテック企業が集結するだけでなく、現地に進出している日本企業も参加しており、現地で販路開拓する上で重要なたくさんのネットワーキングが作れます。
海外展開に向けて動き出していなくても、検討している段階で現地イベントに参加し、情報収集することがおすすめです。
現地のリアルな情報や、販路拡大に向けて抑えるべきポイントや失敗談を教えてもらえたり、ビジネスパートナーが見つかる可能性があります。
今回は、サステイナブルフードキャンプというマレーシアで開催されたイベントをご紹介しながら、アジアの食の課題や注目のフードテック企業をご紹介しました。
ぜひ、この記事を参考にしていただきながら、ベトナムでの販路開拓を議論していただければと思います。
この記事を書いた人
荒島 由也スター・コンサルティング・ジャパン代表、STAR KITCHEN創業者。ベトナムで料理教室、洋菓子製造・販売事業も展開。ホーチミン高島屋に店舗を持つ他、 スターバックス、セブンイレブンなどを取引先に持つ。