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突然ですが、日本からベトナムに輸出している食品のベスト10、どういう食品か想像できますか?
実は、意外な食品が、ベトナム輸出ランキングの上位になっていたりするんです。
主要輸出品の統計は、ベトナムの食品トレンドや全体像を把握する上で重要です。
ベトナムでの事業歴10年・日本企業の海外進出支援事業を営む筆者が、現地でのリアルな情報を交えながらお伝えしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
出典:農林水産省
日本の農林水産省の発表によると、2022年の農林水産物・食品輸出額は、724億円(対前年同期比+23.8%)です。
なんと、2012年からの2022年で輸出額が3.3倍と、急上昇しています。
輸出先ランキング上位の中国(1位)、香港(2位)、アメリカ(3位)、台湾(4位)に引き続き、ベトナムは第5位の輸出額です。
ベトナムから日本への輸出額が高いのには、ベトナム経済成長に伴い、国内需要が高まり、輸出食品を食べるようになっていることが背景にあります。
輸出食品のうち、農産物が500億円で、輸出額の69.0%を占め、水産物が216億円で29.8%を占めます。
ここで特筆しておきたいのは、農産物輸出の19.6%を占める畜産品。畜産品の中ではなんと、もみじや手羽先といった鶏肉がベトナムに輸出されているのです。
ベトナムでは鶏肉の足の部分を食べる食文化があり、日本では鶏ガラスープを作る以外では活用されませんが、このように日本からベトナムに輸出され、活用されているのは驚きです。
出典:農林水産省
日本食品のうち、ベトナム輸出額が大きい上位10品目(2022年)はこちらです。
出典:農林水産省
粉乳とさばは、2018年から5年間不動の1位・2位の輸出品です。
上位10品目のうち、水産物が4品目を占めます。
日本産のドリンクや、調味料も人気であることが伺えます。
上位10品目について、具体的になぜ輸出額が高いのか?現地でどのように受け止められているのか?について解説していきます。
粉乳とは粉ミルクのことです。粉乳は2016年から輸出品目NO.1に躍り出ています。
ベトナムでは子供がたくさん生まれ、ベビーブームが起きているため、粉ミルクの需要が高いです。
また、ベトナムの若い世代が、日本の育児や教育について本を読んで勉強しているぐらい、日本に対する育児・教育面でのいいイメージがある影響で、日本の粉ミルクがブランディングされている側面があります。
日本の粉ミルクは現地のものよりも高いですが、子育て世代は、「子供にはいいものをあげたい」という気持ちがあり、所得にかかわらず日本の粉ミルクが愛されているようです。
輸出品目の2位がさば、5位がさけ・ます、7位がぶり、8位がかつお・マグロ類と、水産物の輸出額が高いことがわかります。
輸出品のうち、ほとんどはベトナムの水産加工食品の施設の原料として輸出され、加工された食品は国外に輸出されています。
一部水産物は、現地のスーパーに出回り、ベトナム国内で消費されてもいます。
ベトナム人の好みとしては、さばやぶりは好まれますが、カツオ・マグロなどの血合いのある魚は苦手意識をもつ人が多いです。
そして、ベトナム人に圧倒的に人気なのが、サーモンです。
スーパーの鮮魚コーナーを訪れると、サーモンがずらっと並んでいたりするぐらい、サーモンが人気です。
3位が清涼飲料水、6位がアルコール飲料となっています。
日本の飲料メーカーは、ベトナム人に刺さる飲料を現地で生産をしていることが多く、ベトナム人が輸出された飲料水を飲むことはレアケースですが、
野菜ジュースなど、健康意識が高いベトナム人向けのドリンク飲料が人気となっていたりします。
アルコールについては、日本食レストランで日本酒が人気であることが、輸出額を押し上げています。
実は、日本から盆栽がベトナムに輸出されています。
盆栽は高価ですが、富裕層の中で、盆栽を嗜むベトナム人がいるのです。
他の国では見られない傾向なので、ベトナム輸出の特徴とも言えます。
日本のタレやドレッシングはベトナム人の評価が高く、人気となっています。
ベトナムでは焼肉店やステーキレストランも多いため、そのような外食レストラン向けの業務用調味料が特に需要が高まっています。
本記事では、日本からベトナムへの主要輸出品10位について、なぜ人気か?を深掘りながら解説していきましたが、いかがでしたでしょうか?
本記事を参考に、ベトナム輸出トレンドを情報収集していただければと思います。
この記事を書いた人
荒島 由也スター・コンサルティング・ジャパン代表、STAR KITCHEN創業者。ベトナムで料理教室、洋菓子製造・販売事業も展開。ホーチミン高島屋に店舗を持つ他、 スターバックス、セブンイレブンなどを取引先に持つ。