column
初めての工場建設の場合、とにかく建設期間を短くしたいと考えてしまいますよね。
でも実は建設にかける期間が短ければ短いほど、後々後悔する可能性が高くなります。
本記事では、食品工場の建設を考えている方に向けて、食品工場の建設にかかる期間や、後から後悔しないための適正なスケジューリングの方法についてご紹介しています。
食品工場の建設は、規模にもよりますが、およそ2年〜3年ほどの期間がかかります。
内訳としては、おおよそ以下のような期間となります。
ですので、工事建設の依頼〜完成までには、併せて2年〜3年ほどかかるのが一般的です。
もし、経営陣でどんな工場にしたいのかが具体的に決まっていれば、設計を1年に短縮でき、2年ほどで建設が完了するケースもあります。
ただ全く白紙から設計を作るならば、設計の部分で2年、合計で3年ほどの期間が必要になります。
設計 (1〜2年) | 工事 (1年) | ||||
ヒアリング〜設計図作成 | 修正・協議 | 役所申請のための設計図作成 | 修正・協議 | 役所申請 | 着工 |
3ヶ月 | → | 3ヶ月 | → | 1ヶ月 | 8ヶ月-12ヶ月 |
なぜそんなに時間が必要なのか?
その理由は、設計段階で綿密な打ち合わせを必要とするからです。
たとえば、住宅を設計するとしたら、ここまで時間はかかりません。
なぜなら、家であれば風呂、台所、リビングスペース..など、
ある程度どのパーツを組めばよいのかが決まっているからです。
ですが、工場ではそうも行きません。
特に食品工場は、ラインの作り方やスペースの確保が、稼働後の生産性や維持コストの大きさに大きく関わります。
つまり、工場の設計を入念に行わないと、ビジネス全体に強い影響を及ぼしてしまうのです。
そのため、
こういった会社固有の情報を綿密にヒアリングし、「この要素が必要では?」「ここはこの大きさで足りますか?」など、
密に協議を進めながら設計と修正を繰り返すため、設計図ができるまでに長い期間を要します。
「もっと短くしたい」ご事情があることもありますし、
設計会社によっては、綿密な打ち合わせなく最短で設計図を作る所もあります。
ただこの期間を短くしてしまうと、後から
「使いにくい」
「こんなスペース要らなかった」
「狭すぎて生産性が悪い」
「機械が入らない」
「材料を置く所が狭い」
このような悩みが出現し、余計な修繕費用が発生してしまいます。
もし、後から後悔しないように工場の建設を計画したいならば、稼働後のリスクを正しく評価して、入念に設計する必要があります。
そのような理由で通常の建物建築に比べて、工場建設は長い期間がかかるのです。
工場を建てる前に「本当にこの設計で良いのか?」については入念に検討を重ねるべきです。
なぜなら、着工を初めてからでは変えることができませんし、
建設が終わってラインが稼働してから気が付くのではもっと遅いからです。
予め入れたい機械、作りたい商品の量などを想定して、起こりうるリスクを1つ1つ潰していく必要があります。
そのためにも、設計の期間は十分に時間を取ることが必要です。
なお、弊社ではこの打ち合わせを平均30回ほど行っています。
最初は手間に感じるかも知れません。
でも、ここに時間をかけることは後から考えると余分なコストを削る大事なプロセスなのです。
とはいえ、食品工場を初めて建設する場合は、
どのような要望を出せば、後から問題が発生するのを未然に防げるのか。
きっとわからないのではないでしょうか。
食品工場は、扱っている商品や業界、事業フェーズなどによってもどのような工場を設計すべきなのかが大きく変わってきます。
ですがもし知識が浅い設計会社に相談すると、御社に適切な提案が難しいかもしれません。
例えば、一般的な工場建設の会社や、工場建設を専門にしていない設計会社の場合、
食品工場のようなオーダーメイドに近い工場設計への知識が浅い場合があります。
また、食品工場の建設は、めったに発生しない一世一代の作業のはずですので、お願いする側が工場の設計に詳しくないケースがほとんどです。
結果、設計会社が進める流れに従って、流されるままに進めていたらいざ使い始めるときに違和感に気がついて
余計な修繕費用がかかってしまうこともあります。
メーカー推奨10年?
適切な設計を行うためには、
お客さんへの深いヒアリングによって起こりうるリスクを洗い出せる力、
そして「ここは大丈夫ですか?」と積極的に提案できる食品業界への深い知識が必要です。
食品工場という専門性が高い設計だからこそ、専門の会社に依頼することも検討してみてください。
この記事を書いた人
林 和矢16歳から建設業一筋、食に関する業態はお任せください。
御社の設計工事部としての役割の中で限りある資源をバランスよく調和させた工場の計画を行います。