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日本が誇る主要輸出品!食品メーカーが知っておくべき海外市場のトレンド
「人口減少が進む日本市場だけでは生き残りが難しい」
「海外進出したいけれど、自社の食品は海外でニーズがあるだろうか?」
海外進出の必要性は痛感しているものの、自社が取り扱う食品が海外で売れるのか?流行るのか?確信がもてずお困りではないでしょうか?
海外市場を開拓する上で、競合が少ない未開拓のマーケットを開拓する選択もありますが、投資余力が少ない中小企業には、すでに競合製品が流行っていて、市場のニーズが高いことがわかっているマーケットに進出することがおすすめです。
そのため、海外市場のトレンドを把握することが重要になってきます。
そこで本記事では、ベトナムでの事業歴10年、日本企業の海外進出支援事業を営む筆者が、日本食品の主要輸出品について、農林水産省の統計を参考にしながら、海外市場のリアルなトレンドをお伝えします。
日本の農林水産省の発表によると、2023年の農林水産物・食品の輸出額は、1兆4,547億円(対前年同期比+2.9%)と過去最高を更新しました。
アフターコロナ下で、世界各地で人々の外出・外食機会が増えたことが大きな要因で、欧米や香港、韓国、台湾を中心に日本の食品の輸出額が増加しています。
日本政府は日本産食品の輸出額の目標として、2025年に2兆円、2030年に5兆円を掲げており、政府支援の追い風もあるため、今後も増加傾向が続くと考えられます。
日本の食品のうち、海外輸出額が大きい上位10品目はこちらです。
出典:農林水産省|2023年1ー12⽉ 農林⽔産物・⾷品の輸出額
輸出額が多いホタテ貝は直近では、輸出先の約6割を占める中国・香港が、ALPS処理水放出後に輸出規制を導入したことで、輸出額が前年比で減少しました。
ウイスキーや日本酒が伸び悩む一方で、牛肉やソース混合調味料、清涼飲料水、ぶり、菓子などは堅調に輸出が増加しています。
特に、輸出額が増加しているのは、以下の6つの食品です。
出典:農林水産省|2023年1ー12⽉ 農林⽔産物・⾷品の輸出額
日本食品の輸出額・輸出増加額のランキングを踏まえて、海外での日本食品のトレンドの実状について解説していきます。
日本の緑茶が、欧米、特にアメリカのヘルシー志向が高い層向けに売れています。
緑茶に入っているカテキンには、抗酸化作用・抗ウイルス作用など、健康効果が高いことが注目され、健康ブームを背景に需要が増加しているのです。
スーパーにいくと、日本の緑茶のペットボトルが売られており、日常的に飲む人が増えていることがわかります。
また、アメリカの都市では、抹茶専門店が出店するなど、抹茶ブームも加速しています。
日本のアルコールは、日本酒から、ウィスキー、クラフトジンに至るまで、幅広い種類のお酒が、GDPが高い国を中心に、全世界的なトレンドとして売れています。
日本酒は地酒がトレンドとして深掘りされています。例えば、シンガポールでは獺祭がビギナー向けと捉えられる一方、有名ブランド以外の地酒も日本酒好みの富裕層を中心に、日本食レストランで飲まれるようになってきています。
ジャパニーズウィスキーは欧米を中心に人気です。
また、桜・檜・みかんなど、日本特有のものを使ったクラフトジンも人気です。
日本の調味料は、ソース混合調味料を中心に、欧米の日本食レストランで消費されています。
ヨーロッパでは、ワインやチーズなどの醸造文化があり、クラフトマンシップを尊重する文化を背景に、日本の味噌、柚子胡椒、しょうゆなども売れています。
また、意外なことに、「こうじ」もイギリスで売れ始めています。イギリスは植民地時代にアジアからスパイスを輸入していた歴史的背景からも、アジアの調味料の良質さを理解している国民文化があるのです。
東南アジアでは、日本産の粉ミルクなどのベビー系食品が売れています。
東南アジアでは、健康志向が高い人口が増えてきており、彼らが安心・安全なベビーフードを子供に食べさせたいという思いから、信頼性が高い日本産のベビー系食品が注目されているのです。
本記事では、農林水産省が公表する、日本食品主要輸出品についてご紹介しながら、海外マーケットでの日本食トレンドについてお伝えしました。
ぜひ、この記事を参考にしていただきながら、海外進出を議論していただければと思います。
この記事を書いた人
荒島 由也スター・コンサルティング・ジャパン代表、STAR KITCHEN創業者。ベトナムで料理教室、洋菓子製造・販売事業も展開。ホーチミン高島屋に店舗を持つ他、 スターバックス、セブンイレブンなどを取引先に持つ。